相続人の調査について
相続人調査の必要性
- 相続はケースにより様々な案件があり、法律で厳格に規程されています。
- 例えば遺産分割協議による相続では、相続権のある者全員分割協議に加わっているか、共同相続人の間で利益相反がないか等々、確認をしなければなりません。
- ひとつでも間違っていれば、その遺産分割協議は無効となってしまいます。
相続において一番の基本は、相続人の確定にあります。
相続人確定に必要な戸籍
- 相続人を確定するためには、故人の出生から死亡までの戸籍謄本等が必要となります。
具体例:故人山田太郎の出生から死亡までの戸籍謄本等
- 除籍謄本(A市、筆頭者:山田泰助)
この除籍謄本は、山田太郎の出生が記載されています。
- 除籍謄本(A市、筆頭者:山田太郎)
花子と婚姻したため、山田泰助の戸籍から出て、筆頭者山田太郎の新戸籍が作成されました。
- 改製原戸籍(B市、筆頭者:山田太郎)
A市からB市に転籍したため、B市に筆頭者山田太郎の新戸籍が作成されました。
- 現在戸籍(B市、筆頭者:山田太郎)
戸籍謄本がコンピュータ化したため、B市に筆頭者山田太郎の新戸籍が作成されました。
なお、一郎と次郎はコンピ化前に婚姻により山田太郎の戸籍から離脱したため、コンピ化後の戸籍には記載されません。
現在戸籍とは?
- 現在戸籍とは、現に在籍している者がおり、使用されている戸籍のことをいいます。
除籍とは?
- 除籍には二つの意味があります。
- ①婚姻、養子縁組、死亡などにより戸籍から除かれること
- ②婚姻、養子縁組、死亡などにより最終的に戸籍に記載されている者が誰もいなくなった戸籍のこと
- ここでいう除籍は、後者のを指します。
- また、他市町村に転籍(本籍地を移転すること)した場合も、転籍先の市町村に新しい戸籍が編製されるため、転籍元の戸籍は除籍簿となります。
- 戸籍を見慣れていない方が間違いやすいところですが、転籍先に編製される戸籍には、その時点で戸籍に在籍している者のみを移記(記載内容を移す事)されます。婚姻、養子縁組、死亡などにより除籍された者は移記されません。
改製原戸籍とは?
- 法律・通達等によって戸籍の様式が改められた場合、従前の様式で編製された戸籍を新しい様式の戸籍に改めるための編製替え(作り直し)を行います。
- 例)手書きの戸籍からコンピュータ化した戸籍した場合
- この戸籍の編製替えのことを「戸籍の改製」といいます。
- そして、この改製により従前の戸籍となった戸籍を、「改製原戸籍」といいます。
- 除籍と同じ考えですが、新たに編製される戸籍には、その時点で戸籍に在籍している者のみを移記(記載内容を移す事)されます。婚姻、養子縁組、死亡などにより除籍された者は移記されません。
相続人の調査方法は?
必要な戸籍謄本等を収集
- 相続人を調査する為には、戸籍謄本等の収集が必要不可欠となります。
- 通常の相続手続きにおいては下記の戸籍謄本等が必要となります。
- 「亡くなった方の出生から死亡までの全ての戸籍謄本」
- 「相続人となる方全員の現在の戸籍謄本」
- 「場合によって、亡くなった方の住民票・相続人の方の住民票」
- この戸籍謄本ですが、亡くなった方の本籍役場で取得をします。
- 仮に亡くなった方が、本籍を転々としていた場合、その都度に本籍役場に請求をしなければなりません。
- 当事務所では、数多くの相続のご相談・ご依頼を頂いておりますが、一般的には4~7通ほど取得をします。
- 相続人が多いなどの理由で30通近く取得しケースもございます。
戸籍の取得方法
①役場で直接取得
- 本籍役場に足を運んで取得します。
- 本人以外の者が取得する場合は、委任状が必要となります。
委任状ひな形
②役場に郵送して取得
- 本籍が遠方の場合もあります。そのような場合は、郵送にて戸籍謄本等を取得します。
- 郵送請求の場合、下記の書類等を送付します。
- 請求書は各自治体のHPで取得できる場合がほとんどです。
- ここで注意していただき事は、「手数料」です。
③郵送取得時の手数料について
- 戸籍等を取得する為には、代金を支払分ければなりません。
- 郵送請求の場合は、どのように支払うのでしょうか?
- 郵送請求の場合、「定額小為替」でのみの支払となります。
- 現金書留や切手や収入証紙、収入印紙では支払が出来ないことになっています。
- この「定額小為替」は郵便局で購入できますが、1枚につき100円かかり、何枚か購入するとすぐに千円を超えてしまいます。
- ゆうちょ銀行「定額小為替」のページ
相続放棄の確認
相続放棄をした者は、初めから相続人とならなかったものとみなされます。
相続放棄をした者がいるかどうか不明な場合は、家庭裁判所に相続放棄申述受理の照会をすることにより、相続放棄者がいるかどうか確認することができます。
相続調査は、思った以上に大変です。
相続人が多い場合などは、専門家に依頼した方が良いかもしれません。
相続人調査依頼のメリット・デメリット
- 遠方の複数の役所に戸籍謄本類が点在していても素早く書類を集められる。
- 戸籍謄本類の取得を漏れなく行える。
- 戸籍の解読を任せる事ができる。
- 平日に役場に行かなければならない。
- 戸籍謄本の取得に漏れがある場合、再度役場に行かなければならない。
- 戸籍は旧字等で記載されている場合、解読が難しい。
相続人調査サポート費用・流れ
費用項目・流れ
調査費用(実費)
- 戸籍謄本・附票等
- 概ね450円~750円
- 住民票等
- 概ね200円~400円
- ※郵便を利用した場合、郵便代実費。
- ※印鑑証明書は取得できません。
サポート料
- 基本料金
- 15,000円(税抜)
- 戸籍謄本・住民票等
- 1,500円/1通(税抜き)
手続きの流れ
7法定相続情報一覧図および相続関係書類(戸籍謄本等)のお渡し、ご清算
費用の具体例
夫が亡くなり、妻と子2名が相続人。
戸籍を取得した結果、戸籍謄本が2通、除籍謄本・改製原戸籍が4通、住民票を2通取得した。
調査費用(実費)
- 戸籍謄本
- 450円×2通=900円
- 除籍謄本
改製原戸籍
- 750円×4通=3000円
- 住民票
- 300円×2通=600円
- 小計
- 4,500円
サポート料
- 基本料金
- 15,000円
- 戸籍謄本・住民票等
- 8通×1,500円=12,000円
- 小計
- 27,000円(税抜)
手続き費用総額
- 調査費用実費
- 4500円
- サポート料
- 23000円
- 合計
- 31,500円(税抜)
相続人が妻・子2名の一般的な相続の場合、3万円前後が一番多くなります。
法定相続情報証明制度
法定相続情報証明制度とは?
- 平成29年5月29日から始まった新制度です。本制度により交付された「法定相続情報一覧図の写し」が、相続登記の申請手続きを始め、被相続人名義の預金払い戻し等、様々な相続手続きに利用できます。
- 例えば、相続による被相続人名義の預金払い戻しを行う場合、各金融機関ごとに戸籍書類一式を持参しなけばらなりませんでしたが、「法定相続情報一覧図の写し」を戸籍書類一式の代わりに持参すればよいこととなります。
- このように、法定相続情報一覧図があることにより、相続手続きがぐっと便利になります。
- 法務省のHP