収益不動産を所有の方の相続対策として、「民事信託」は非常に有用です。
まずは法定後見を検討、次に民事信託を検討。
法定後見 | 民事信託 | |
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申立て・契約時期 | 障害のある子が、法定後見制度に該当。 一定の親族が家庭裁判所に申立てできる。 |
委託者(主に親)と受託者(親族)が信託行為を合意すれば活用できる。 |
効力発生 | 家庭裁判所の審判確定時。 | ・遺言信託→委託者死亡時。 ・遺言代用信託→信託行為発生時。 |
権限 | ① 財産管理 ② 法律行為(注1) ③ 身上監護権 |
信託財産の管理・運用・処分 身上監護は含まれておりません。 |
本人の法律行為に対する取消権(注2) | 後見:ほとんどの取引で取消可能。 保佐:一部の行為に対して取消可能。 補助:定められた行為のみ取消可能。 |
受託者にに取消権がない。その為、取消不可。 法定後見と違い、信託財産以外を守る事が難しい。 |
監督機関 | 家庭裁判所 毎年報告義務あり。 |
任意で、「信託監督人」「受益者代理人」等の監督機関を設置できる。 |
監督機関の承継 | 家庭裁判所がなくなる事はほぼ有り得ない。 | 信託行為により、「信託監督人」「受益者代理人」等次の者を定める事は可能。ただ、何十年先のことは分らない。 |
財産を管理する者 | 家庭裁判所が選任した者。 | 信託契約で定めた者。 |
上記に対する者への報酬 | 家庭裁判所が決定。毎年報酬が発生する。 管理財産の多寡によって左右されますが、毎年20万円~ほど。 |
信託契約による。無報酬でも可。 |
上記に対する者の死亡又は判断能力低下 | 家庭裁判所は、利害関係人等の請求又は職権で新しい後見人を選任することができる。 | 信託行為のに従う(要は次の受託者を定めている場合)。 なければ利害関係人の申立てにより裁判所が新受託者を選任する。 |
管理財産の運用 | 売買等の処分行為のような、積極的な運用は原則不可。本人財産を減らさないよう消極的な運用。 | 信託契約内であれば、売買等の処分行為のような、積極的な運用も可能。 |
居住用不動産の処分 | 裁判所の許可が必要。 合理的な理由がなけらば許可されない。 |
家庭裁判所や任意後見監督人の同意・許可は不要。 |
本人死亡による相続 | 本人の死亡により後見業務が終了。後見人は、相続人等に相続財産を引継ぎを行う。遺産整理や死後事務は相続人等が行う。 | 信託財産である信託口口座は凍結されず、受託者が信託契約に従って、資産承継を行う。本人の相続財産の行先を、コントロールできる。 |
「成年後見制度」と「民事信託」どちらを利用した方が良いか悩まれた方は、専門家に相談しましょう。