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民事信託民事信託の税務

民事信託の税務について

民事信託を契約する場合に注意しなければならないのが税金です。
民事信託についてよく利用されるのが「受益者等課税信託」となります。
「受益者等課税信託」については、所得税・法人税・相続税法上、受託者ではなく、受益者がその信託財産を有しているものとして取り扱う、いわゆる「パススルー課税」が適用されています。

信託の効力発生時

(1)贈与税・相続税・譲渡所得税・法人税

自益信託(委託者=受益者)

課税上、信託財産の移転はない考えます。
結果、贈与税・相続税・譲渡所得税、全て課税関係は生じない。

民事信託でよく活用される、自益信託(委託者=受益者)では、
贈与税・相続税・譲渡所得税は一切課税されません。

他益信託(委託者≠受益者)※適正対価なしの場合

課税上、委託者から受益者に信託財産が移転してものとみなされます。(所法13①、法人税法12①)
受託者は、単なる名義人として信託財産を預かり、管理運用しているだけと考えます。
①委託者(個人)→受益者(個人)
・委託者:課税なし
・受益者:贈与税課税(相法9の2①)【相続税評価額】
②委託者(個人)→受益者(法人)
・委託者:みなし譲渡課税(所法67の3③、59①、所基通67の3-1)【通常取引価額】
・受益者:受贈益課税(法人税法22②)【通常取引価額】
③委託者(法人)→受益者(個人)
・委託者:寄付金or役員賞与(法人税法22②、34①、37)【通常取引価額】
・受益者:一時or給与所得課税(所基通34-1(5))【通常取引価額】
④委託者(法人)→受益者(法人)
・委託者:寄付金課税(法人税法22②、37)【通常取引価額】
・受益者:受贈益課税(法人税法22②)【通常取引価額】

他益信託(委託者≠受益者)※適正対価ありの場合

・委託者(個人):その個人に譲渡所得課税(所法33)
・委託者(法人):その法人に譲渡課税(法人税法22②)
・受託者:課税は生じない

(2)信託設定時の受託者の調書提出義務

下記に該当する受託者以外は、信託効力が生じた日の属する月の翌月末日まで、「信託に関する受益者別(委託者別)調書(同合計表)」を、受託者の事務所等の所在地の所轄税務署に提出しなければなりません。(相法59②)
自益信託の場合(法規30③五イ(4))
・信託財産の価額の合計額が50万円以下の場合(法規30③一)
国税庁HP

民事信託でよく活用される、自益信託(委託者=受益者)では、
「課税」及び「調書の提出」はありません。

(3)不動産取得税・登録免許税

不動産そのものを売買・贈与により移転する場合と比較して、不動産の受益権として経済的価値を移転することで、不動産取得税・登録免許税は大幅に軽減されます。

自益信託(委託者=受益者)、他益信託(委託者≠受益者)の場合

◆委託者
→課税なし
◆受託者
下記のとおり
         
種類 売買・贈与 信託
登録免許税 土地 2%(売買のみ平成31.3.31まで1.5%) 0.4%(平成31.3.31まで0.3%)
建物 2% 0.4%
不動産取得税 土地 4%(平成33.3.31まで:3%)
(注)宅地等は固定資産税評価額×1/2
非課税
(地方税法73条の7第3号)
建物 住宅4%(平成33.3.31まで:3%)
住宅以外4%
非課税
(地方税法73条の7第3号)

信託は、売買・贈与と比較すると登録免許税は5分の1、
不動産取得税は非課税とお得となっています。

具体的計算例

◆信託財産
土地:1000万円
家屋(住宅):500万円
合計:1500万円
①売買の場合
・登録免許税:25万円(土地15万円、建物10万円)
・不動産取得税:30万円(土地15万円、建物15万円)
合計:55万円
②信託の場合
・登録免許税:5万円(土地3万円、建物2万円)
・不動産取得税:なし
合計:5万円
③差額
50万円

民事信託の設定時は、不動産取得税が非課税となります。
また、登録免許税が大幅に軽減されます。

(4)その他

印紙税法

・原則:1通につき200円(印紙税法別表第1第12号)
・例外:公正証書により信託行為に関する契約書を作成の場合は不要
※公証人への手数料は発生します。

信託の期間中

(1)所得税

所得税の申告者

所得税法上は受益者等が信託財産に属する資産・負債を有するものとみなします。
そのため、信託財産に帰される収益・費用は、受益者に帰属するものとみなして課税されます。(所得税法第13①)
つまり、受益者は、信託財産から発生する所得について、自分の所得として確定申告を行う必要があります。

信託から生じた損失について

・受益者が個人の場合
①信託による不動産所得の損失がある場合、その損失はなかったものとされ、翌年分への繰越もできない。(措法41の4の2①)(措法令26の6の2④)
例)「信託から生じる総収入金額300」「信託から生じる必要経費500」の場合、信託による損失は200となりますが、その損失はなかったものとみなされ、かつ翌年以降に繰り越しもできません。
②当該信託の信託財産以外の受益者の固有の財産の黒字とも損益通算ができません。(措法41の4の2①)
例)「信託から生じる総収入金額マイナス300」「受益者の固有の財産から生じる総収入金額100」の場合であっても、損益通算ができません。

(2)受託者の計算書等提出義務

①受託者は、下記に該当する場合の除き、信託期間中、信託の計算書を毎年、所轄の税務署長に提出しなければなりません。(所法227)
・各人別の信託財産に帰せられる収益の合計額が3万円以下(信託の計算期間が一年未満である場合には、1万5千円)(所規96②)

国税庁HP

②受益者が変更された場合、「信託に関する受益者別(委託者別)調書(同合計表)」を所轄の税務署長に提出しなければなりません。(相法59③)
なお、提出事由は「受益者の変更」となります。
国税庁HP

(3)贈与税・相続税・譲渡所得税

受益権を贈与、売買等

課税上、旧受益者から新受益者に信託財産が移転したものとみなされます。(所法13①、法人税法12①)
・対価がない\場合(贈与):新受益者に課税(相税9の2②)
・対価がある場合(売買):旧受益者に課税(所税33)

受益権を相続

新受益者に課税(相税9の2②)

受託者の死亡・辞任・解任等

所有権が移転しても、受益権は移転していない為、贈与税・相続税・譲渡所得税は全て発生しない。

(4)不動産取得税・登録免許税

委託者の変更

①不動産取得税
課税なし
②登録免許税
不動産1個について1,000円

受益者の変更

①不動産取得税
課税なし
②登録免許税
不動産1個について1,000円

受託者の変更

①不動産取得税
非課税(地方税法第73の7⑤)
②登録免許税
・所有権移転登記:非課税(登免法7①3)
※1)受託者変更登記は職権登記(不登法101①)のため、登録免許税不要。
※2)受託者は法人で「合併」をした場合は、所有権移転登記と受託者変更登記の申請が必要。受託者変更登記の登録免許税は不動産1個につき1,000円。

所得税以外で信託期間中で課税されることがあるのは、
受益権に何らかの移動があった場合です。

信託の終了時

(1)贈与税・相続税・譲渡所得税

信託終了時には、終了時の受益者と残余財産の帰属する者(残余財産受益者)との関係で課税関係が決定します。

残余財産受益者ではない委託者

残余財産受益者ではない委託者に、贈与税・相続税・譲渡所得税の課税関係が生じない。

残余財産受益者ではない受託者

残余財産受益者ではない受託者に、贈与税・相続税・譲渡所得税の課税関係が生じない。

受益者が、残余財産受益者

贈与税・相続税・譲渡所得税の課税関係が生じない。(相法9の2④)
信託財産は、実質的に移転していない為。

受益者以外の者が、残余財産受益者

①信託の終了原因が、受益者の「死亡」
・残余財産受益者・帰属権利者に相続税が課税。(相法9の2④)
②信託の終了原因が、受益者の「死亡」以外
・対価がない場合:残余財産受益者に贈与税。(相法9の2④)
・対価がある場合:最後の受益者に譲渡所得税が課税。(所法33)なお法人の場合は、譲渡課税。(法人税法22②)

(2)受託者の計算書等提出義務

信託が終了した場合、「信託に関する受益者別(委託者別)調書(同合計表)」を所轄の税務署長に提出しなければなりません。(相法59③)
なお、提出事由は「信託の終了」となります。

国税庁HP

(3)不動産取得税・登録免許税

自益信託(委託者=受益者)で、残余財産受益者が委託者

①不動産取得税
非課税(地税73の7④イ)
②登録免許税
信託抹消登記:不動産1個について1,000円
※所有権移転登記は非課税

残余財産受益者が受益者の相続人

①不動産取得税
非課税(地税73の7④ロ)
②登録免許税
所有権移転登記:0.4%
信託抹消登記:不動産1個について1,000円
※法人の合併の場合も同様

残余財産受益者が受益者の相続人以外の者

①不動産取得税
課税
②登録免許税
所有権移転登記:2%
信託抹消登記:不動産1個について1,000円

受益権は、相続の対象となります。税務上も相続税の対象となります。

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